誓~天才演技者達の恋~
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約三年外国にいるから...と言っても、必ずここ(日本)に帰ってくるつもりの白野家は、本当に必要な物だけを詰めていた。
「百合亜ちゃん、準備早く終わらせなさいね」
下から聞えてくる百合亜自慢の両親達の声。
いつもは返事を返す百合亜だったが、なんだか今日は「分かった」の一言でさえ口に出せない。
それどころか、帰って来てから百合亜は部屋に籠もりっきりだった。
「百合亜ちゃん?」
心配になった母は、二階へ駆け上がり、百合亜の部屋に入る。
お姫様テイストでまとめられた一室。
その中心に百合亜はいた。
「百合亜ちゃん!!何ッしてるのッ!!」
今までのアルバムをバラバラのグシャグシャにして、百合亜は泣いているではないか。
百合亜らしくない行動に母は、急いで百合亜の傍に駆け寄る。
「どうしたの?百合亜ちゃん」
「お母さん...どうしよう...演技の仕方....分かんなくなっちゃった....」
今までの台本を握り締めて百合亜は、母親に泣きついた。
そこで初めて...いや、久しぶりに“わが子”という思いで、百合亜に触れられた。
「久しぶりに、白野百合亜じゃない....あなたを見たわ」