誓~天才演技者達の恋~

______
__________


《迷っちゃった(泣)
明華学園は広いよぉ~!!》


ユリアから来たメールを見つめながら、ユリアを探す賢斗。

すると、芸能科と普通科の間にある噴水に、ユリアは腰掛けていた。


「ユリ....」


――バシャバシャ

左手を噴水に入れ、水で遊んでいるユリア。

その何とも言えない雰囲気に賢斗は戸惑う。


「綺麗だ...」


ポツリと呟くと、賢斗は背後からゆっくりとユリアに近づいていく。

ユリアが水から手を出した瞬間、賢斗はユリアに抱きついた。


「えっ...賢斗!?」

「ごめん。キスしていい?」

「.....うん。」


ゆっくりと唇を重ねるユリアと賢斗。

賢斗は今ある幸せを噛み締める。


――パシャ

朱美は木の陰から静かにシャッターを押す。

カメラを顔から離し、撮った写真を確認し笑う。

朱美は、噴水で遊ぶユリアの姿から撮っていた。


「この子が...菊花香織の子供。菊花ユリア...。まさか、ここまでそっくりだとわね」


朱美は眼鏡を取ると、ぼやけた視界でその場を去る。

そして、コンタクトを入れると携帯を取り出した。


「鎌足編集長?撮れました。菊花ユリア...そして恋人の城崎賢斗」


電話の向こうで鎌足は、大声を上げていた。

朱美はその言葉を聞いて、さらに笑うことになる。


『土居ィィィィィ!良くやったー!今日はビールだ。ビール!』

「ですから、土居ですって」


< 85 / 252 >

この作品をシェア

pagetop