誓~天才演技者達の恋~
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「卓也、今日は休みなの?」
「あぁ」
由梨は報道陣に向ってピースをした。
卓也は無表情のまま、由梨と手を繋いでいた。
「由梨ちゃん!卓也くん!これはデートなのかな?」
「そうですー!邪魔しないでくださいねッ!」
報道陣に投げキッスをすると、由梨は卓也の手を引き走り出した。
卓也も引かれるがまま走る。
カメラマン達も追おうとするが、二人の若さには勝てそうにも無い。
「今日は、初卓也とデート...だよね。」
「あぁ」
由梨は一瞬表情を曇らせてから、笑顔になった。
卓也と繋いでいる手をギュと強く握り締める。
それに卓也は答えようともしてくれない。
「卓也...私の事好き?」
「好き...なんじゃない?少なからず、好きになろうとはしているよ」
『百合亜を忘れたいから?』という言葉を、由梨は飲み込んだ。
好きになろうとしてくれている...それだけで満足しなければいけない。
そう由梨は考えていた。
~♪~♪~
卓也の携帯が鳴り響く。
「ごめん由梨、仕事みたいだ」
「しょうがないなぁ....お開きか。」
由梨は卓也から離れると、勢い良く走り出した。
そして卓也が見えない路地に入り、涙を流す。
「泣くな..泣くな由梨....。しょうがないのよ。私も彼も有名人なんだから」
由梨はそういいながら、道路に涙を落としていた。
唯一追いついていた朱美は、カメラを構えたが、何とも言えない雰囲気に、カメラを構えることを止めてしまった。