誓~天才演技者達の恋~
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「師羅監督!エキストラの準備できました」
師羅の二番弟子がそう叫ぶ。
今日は、卓也が出演する映画のワンシーンのカット。
ここに卓也はいないが、卓也の相手役の新人アイドルが待機していた。
「みなさん、これは街のセットです!街の中の風景を、みなさんで作っていってください!!」
そうエキストラに呼びかけると、新人アイドルの舞子(マイコ)は立ち位置につく。
ユリアは遠くで、舞子を見ていた。
なんだか、自分が一番と雰囲気で言わせている感じがした。
「舞子って、今師羅監督が一番に目をつけてる子だろう?」
「だからあんなに偉そうなんだ...中一のクセに」
ユリアの横にいたエキストラ達の話を聞いて、ユリアは納得した。
「では、よ~いアクション!」
「カット!!」
ユリアが一歩も歩かないうちに、エキストラにストップがかかる。
師羅は、頭を抱えながらもエキストラに訴えた。
「硬い!」
そう言われて何回もするが、すべて上手く行かない。
舞子も呆れ顔で撮影に挑んでいた。
「いつもの私じゃ駄目...エキストラも演じなきゃ」
ユリアは小さく呟くと「アクション」の声に合わせて、手をあげた。
他のスタッフはいきなりの行動に、目を見開くが、師羅だけが瞳を変えた。
「出たね...」
師羅の一言に、二番目の弟子は息を呑む。
その一言は、師羅が期待しているという意味を含む。
「ち~ちゃん、こっち、こっち!!もう、歩くの遅すぎ!!」
ユリアの一言で、スタジオの雰囲気が変わった気がした。