誓~天才演技者達の恋~
師羅は笑みを零しながら、ユリアの瞳に怯える。
その強く、凛々しい瞳の持ち主は、今まで百合亜しか見てきていなかった。
ユリアはそのさらに上をいく少女。
師羅はそう直感的に思った。
「フッ...着いたみたいだな」
「えっ.....?」
「キミの相手役」
ユリアはゆっくりと後ろを振り返る。
車から降りた卓也は、ただ黙ってユリアを見つめる。
「......?」
「知っているだろう?日比野卓也さ。」
師羅は卓也の傍に行く。
すると、驚きの目で卓也は師羅に挨拶をした。
鼻で笑うと師羅は、卓也の耳元に口を近づける。
「白野百合亜を超える天才」
「えっ....!?」
「Yuriaだよ。」
卓也と視線が合ったユリアは、頭を下げた。
卓也も同じように頭を下げる。
そしてユリアに近づくと、手を差し出した。
「俺は、日比野卓也。名前は?」
師羅から聞いたはずなのに、もう一度本人から聞こうとする卓也。
ユリアは首を傾けながら、手を差し出すと、卓也と握手をかわす。
「はじめまして、私はYuriaです。ローマ字でYuria。」
「あっ....そう。あぁ...よろしく。Yuriaさん」
ユリアはもう一度頭を下げた。
そして崩れた髪の毛を直そうと、卓也の手から自分の手を引こうとする。
「Yuria....百合亜」
「えっ!?」
スタッフは目をまん丸にする。
それは、卓也に抱きしめられたユリアも同じ。
師羅一人だけが、笑顔を浮かばせていた。