とけてながれて【完】


「あ、…えっと…」


『妹の雪華ちゃんだよね?あたしのことは、気軽に彩お姉ちゃんって呼んでね!』


「…えっと…何の御用でしょうか?」


こういう時程、冷静な私が可笑しかった


『えっとね、雪兎さん帰ってるかな?連絡とれなくて…』


「帰って来ていません。すいません、私今料理中で…」


『あぁ!ごめんね雪華ちゃーん!これから、宜しくねっ』


失礼します、と言って電話を切ると
その場に座り込む


「なんで、抱いたりなんかしたのよ…!」


お兄ちゃんは酷い人だ


慰めてくれるんじゃ、なかったのか


貴方には立派な婚約者がいて


私がどんなに想っても叶うはず無くて


そんなのわかってた、理解してた


でも、でも、


貴方からじゃなくて婚約者から、聞くなんて


一番、傷つくよ…


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