とけてながれて【完】


「俺のこと、避けてたよね?」


びくっ、とするのは事実を言われてしまったからだって合図


それを見たお兄ちゃんが乱暴に唇を合わせてくる


偽りのキスはいつも冷たい


凍える様な冷たさに涙が溢れる


「泣くなよ…」


「婚約者、いるのになんでキスするの」


「え、」


驚きに目を見開くお兄ちゃんに本当のことなんだと理解する


「やっぱり結婚するんだね?」


「や、それは」


「いいんだよ、いいの。言いにくかったんだよね?わかってた。大丈夫、何にも言わないから」


あんなに震えてた足が震えるのをやめてくれる


急いで立ち上がって私は階段を駆け下りる


< 169 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop