とけてながれて【完】
「俺のこと、避けてたよね?」
びくっ、とするのは事実を言われてしまったからだって合図
それを見たお兄ちゃんが乱暴に唇を合わせてくる
偽りのキスはいつも冷たい
凍える様な冷たさに涙が溢れる
「泣くなよ…」
「婚約者、いるのになんでキスするの」
「え、」
驚きに目を見開くお兄ちゃんに本当のことなんだと理解する
「やっぱり結婚するんだね?」
「や、それは」
「いいんだよ、いいの。言いにくかったんだよね?わかってた。大丈夫、何にも言わないから」
あんなに震えてた足が震えるのをやめてくれる
急いで立ち上がって私は階段を駆け下りる