とけてながれて【完】
「雪華、ちゃん?」
後ろから綺麗な声が聞こえた
先ほど初めて会った、綺麗な人の声
「…さ、くさん……」
朔さんは何も言わずに私を抱きしめた
「あ、の朔さんま、で…汚れます…」
朔さんは汚れちゃ、駄目
「泣いてる人がいるのに、そんなの気にしないよ」
さらに強く抱きしめてくれる
そんな温かさ、久しぶりで
血がにじむほど唇をかみ締めて声を殺す
「私の家、おいで」
その言葉に少し涙がひく
「帰れないんでしょう?」
「初対面、なのに…私、危ない人かも知れないです」
「泣きながらそんな事言う子が危ないわけない」
おいで、ってまた言ってくれて
泣きながら手をつないでくれて
近くに待たせていたらしい車に乗り込んで朔さんの家に向かった