とけてながれて【完】


「私ね、雪兎を愛してる…!」


「っ、」


目を見開く雪兎に苦笑い


これで本当に、兄妹と言う関係も切れてしまう
そう思うと涙が自然と零れた


「あ…ッ」


ごしごしと目をこすっても止まってくれない涙が恨めしい
最後くらい、綺麗に終わりたかったのに
雪兎の顔を刻み付けたいのに
止まることを知らない涙


「せつッ…」


「あのね!」


雪兎からのお別れの言葉が怖くて


「まだ掃除残ってるから、行くね…っ」


ばいばい、と続くはずの声が途切れたのは
雪兎に抱きしめられて続かなくなったから


どうして、抱きしめるんだろう


平気な顔して笑ってばいばい、言おうと思ったのに泣いちゃうじゃないか


どちらも話さないこの沈黙が苦しい


「…行かせるかよ…ッ!」


「…」


「俺だって、まだ何にも言ってないじゃないか!」


言おうとしてることは、罵倒の言葉ですか?
私は泣いちゃうけど、いいですか?


――どんなに酷いこと言われても、好きなままでいいですか…?


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