とけてながれて【完】


「いーかげん朔をものにしないなら、嫁がせるぞ。」


「……朔が、応じると思うのか?」


「思わないな。だから、」



―――お前のためとでも言えば、どうだ?



こいつは、本当に食えない奴だ。
朔の弱さも強さも知っていて、言っている。


ひとつ、ため息をつくと。


「もう少し、待て。」


それだけ言うとくるり、引き返す。


< 205 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop