Pianissimo
放課後――…。

またいつものように美樹を待つ為に音楽室へと向かう。

この学校に吹奏楽部と言うのが無い事に感謝した。

そうでないと音楽室使えないし。

それに…

先生が顧問だなんて…耐えられるわけがない。


鍵を開けようとしたら、何故か鍵はかかっていなくてすんなり中に入る事が出来た。

鞄を近くにあった机の上に乗せて座ろうとした時、すーすーと規則正しい寝息が聞こえてくるのに気がついた。

「…先生…」

先生が音楽室で寝ている所を見るのは今回で二回目だ。

でも、寝顔は見れなかったな。なんて思いながら先生の側に行く。


すやすやと気持ちよさそうに寝る先生の寝顔は、少し幼く感じた。

何だかんだ言って8歳の差があるはずなのに不思議に思う。

私は起こさないようにそっと先生の頭を撫でると、くすぐったそうに身をよじる姿が可愛かった。

…先生に対して可愛いって、どうなんだろうか。


「先生…」

好き。大好き。

苦しいよ先生。

先生。先生は知らないだろうけど…。

私ね、本当に先生の事が大好きなんだよ…。

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