Pianissimo
気付いてしまったら意識してしまうのはしょうがない。
それでも、胸の高まりや締め付けが治まる気配は無い。
「んー…」
もそっと先生の体が動き、ゆっくりと体を起こした。
目を擦る仕草。
視界がまだぼやけているのか無意識に細められる目。
くるんと丸まった寝癖。
その全てにドキドキして仕方がない。
「あー…神原。起きてたのか。起こしてくれりゃあよかったのに…」
「先生が気持ちよさそうに寝てるからですよー。先生こそ、何で起こしてくれなかったんですか?」
そう言うと先生は少し考えて、とんでもない事を口にした。
「神原の寝顔が可愛かった…から?」
「ッ…な、何で疑問形なんですか!」
やばいやばい。今絶対顔赤いと思う、私。
意地悪に笑う先生の笑顔にきゅんとした。
畜生、ときめき返せよ先生。
「いや、だってなあ。気持ちよさそうに寝てる所、起こしたら悪いだろ」
そう言って少し長い髪を耳にかけ、いつの間に風で飛ばされたのか、散乱しているプリントを拾って元の場所へ戻した。
「先生」
「んー?」
「…パーカー、ありがとうございました」
「おー。そこ、置いといて」
先生の言うとおりに机の上にパーカーを置く。
少し名残惜しさを感じた。
「先生」
「はいはい」
「何か弾いて下さいよ」
「…何かって、何だよ」
「先生が一番好きな曲が良いです。そうだ、歌いながら弾いて下さい!」
「はぁ…!? …ったく、しょうがねぇな…。寝るなよ」
そんなにゆっくりな曲なんですか。とは言わずに、黙って待っていた。
ピアノから紡がれる音色が部屋を満たす。
ピアノの音も、先生の声も、歌も、歌詞も全て美しく思った。
楽しそうに歌う先生の姿がどうしようもない程愛おしくて、今にも泣きそうだった。
それでも、胸の高まりや締め付けが治まる気配は無い。
「んー…」
もそっと先生の体が動き、ゆっくりと体を起こした。
目を擦る仕草。
視界がまだぼやけているのか無意識に細められる目。
くるんと丸まった寝癖。
その全てにドキドキして仕方がない。
「あー…神原。起きてたのか。起こしてくれりゃあよかったのに…」
「先生が気持ちよさそうに寝てるからですよー。先生こそ、何で起こしてくれなかったんですか?」
そう言うと先生は少し考えて、とんでもない事を口にした。
「神原の寝顔が可愛かった…から?」
「ッ…な、何で疑問形なんですか!」
やばいやばい。今絶対顔赤いと思う、私。
意地悪に笑う先生の笑顔にきゅんとした。
畜生、ときめき返せよ先生。
「いや、だってなあ。気持ちよさそうに寝てる所、起こしたら悪いだろ」
そう言って少し長い髪を耳にかけ、いつの間に風で飛ばされたのか、散乱しているプリントを拾って元の場所へ戻した。
「先生」
「んー?」
「…パーカー、ありがとうございました」
「おー。そこ、置いといて」
先生の言うとおりに机の上にパーカーを置く。
少し名残惜しさを感じた。
「先生」
「はいはい」
「何か弾いて下さいよ」
「…何かって、何だよ」
「先生が一番好きな曲が良いです。そうだ、歌いながら弾いて下さい!」
「はぁ…!? …ったく、しょうがねぇな…。寝るなよ」
そんなにゆっくりな曲なんですか。とは言わずに、黙って待っていた。
ピアノから紡がれる音色が部屋を満たす。
ピアノの音も、先生の声も、歌も、歌詞も全て美しく思った。
楽しそうに歌う先生の姿がどうしようもない程愛おしくて、今にも泣きそうだった。