俺様ヤンキーに愛されて。~third~
佐々野みあの声に俺は驚いて目を見開く。
視線に映る彼女の瞳はまだ涙でいっぱいだった。
彼女は唇を震わせながら少しずつ言葉を発していく
「助けてくれて……ありがとう
また……助けられ……ちゃったね…」
………ありがとう?
この俺に?
泣いてるお前に何もできないこんな俺に?
そんな言葉を贈ってもらえる資格なんて俺には無い……無いんだよ。
俺は自分が情けなくて、佐々野の顔を見ていられなくて俯く。
「……し…白金………」
佐々野の不安そうな声が耳に届く。
そんな声で、俺の名前を呼ぶなよ。
あの日階段から落ちて気づいたら病院にいて。
目が覚めた時、コイツに自分の名前を呼ばれた時は心の底から不快だった。
知り合いでもねえのに病室に入るなって、猛の彼女だからって馴れ馴れしいって本気で思った。
俺に近付くなって。酷いことを何度も言った。
でも、俺はーーーー
何を言ってもめげずに立ち向かってる、俺に真っ直ぐぶつかってくる佐々野みあを、放っておけない。
お前のこと何も知らねえのにな。
猛も姉貴もお前の友達もみんなお前を知っているのに。
俺だけがお前を知らない。
猛達にはカッコ悪いから絶対言えねえけど
球技大会の時も本当はお前を助けたかった。
団子女じゃなくてお前を一番に運びたかった。
俺……………
「白金……あたしが誰か分かる……?」
…………分かりてえよ。
「あたしの…こと……思い出した………?」
…………思い出してえよ。
そんなに声震えてんのに。
泣いてんのに。
お前が欲しい言葉をかけてやることも出来ない。
何で…何で俺は……お前を………
「白金……好きだよ………」