俺様ヤンキーに愛されて。~third~
ーーーギュッ
俺は膝の上で寝ていた佐々野みあを抱え上げて抱きしめた。
ドクンッとお互いの心臓の音が響く。
「……しっ…しろ…がね……」
突然のことに驚いたのか、腕の中にいる佐々野みあが動きながら俺の名を呼ぶ。
「黙ってろ」
俺がそう言いながら佐々野みあを強く抱きしめると、佐々野みあの身体が熱くなった気がした。
俺の気持ち少しでも伝えねえと。
「嫌い嫌いってうるせーんだよ」
「……え……?」
間抜けな声を出す佐々野みあ。
俺、そんなに変なこと言ったか?
誰かに想いを伝えるって難しいな!
「………っ!!だから…!」
小っ恥ずかしくなってきた俺は身体に力を入れた。
分かれ、分かれよ。
佐々野みあ。
俺は耳元で言葉を続ける
「お前のこと嫌いじゃねえよ」
緊張で少し身体が震える。
これが今の俺の、
お前のことを何も知らない俺の精一杯だから。
頼む、伝わってくれ…。
恐る恐る佐々野みあの顔を見るとボロボロと涙をこぼしながら俺を見ている。
それは、嬉しそうな顔で。
「………ほっ……本当……?」
なんて事を俺に聞き返してくる。
「…ああ」
嘘でそんなこと言うわけねえだろ。
「あたしのこと……嫌いじゃない……?」
「…おう」
俺がそう答えると佐々野みあは少し嬉しそうな顔で
震えながら俺の腕の中で小さくなっている。
こんな……こんなことで。
俺のこんな一言で嬉しそうにしてくれるのか?
喜んでくれるのか?
佐々野みあを見て心臓がギュッと締め付けられる。
こんなに優しい女が、たった一言で喜んでくれる女が俺の軽率な一言でどれだけ傷ついたのか……。
どれだけ謝っても許されることじゃねえけど。