俺様ヤンキーに愛されて。~third~
「…え?…」
耳元から聞こえる不思議そうな佐々野みあの声。
俺は言葉を続ける。
「………なんで守りたいとか……お前が俺にとってどんな存在なのか……
全然分からねえ……」
佐々野みあの身体がピクッと動く。
俺がお前のことを思い出せてねえとわざわざ口にしてごめん。
でも、聞いて欲しいんだ。
俺はお前が誰が分からなくても
思い出せなくても、
「………だけど、守りたいんだ
他の奴には渡したくねえ」
特別な存在だってこと。
「俺がお前……
お前の傍にいたいんだ」
隣にいて欲しいなんて言えない。
この感情が何かも分からないのに、何一つ思い出せないのに。
でも、お前の傍にいたいって気持ちは本当だから。
お前が良いなら傍にいさせてくれねえかな?
佐々野みあは俺の言葉を聞いてさっきよりも大量に大粒の涙を流して泣いている。
そんな彼女の涙をシャツ越しに肩に感じて胸が締め付けられて熱くなる。
「バカ…泣くなよ……」
俺がそう言うと、佐々野みあが身体を離し始めた。
………傍にいたいって素直な気持ち伝えたけど俺の身勝手すぎたかもな。
嫌なのかもしれない。
分かった。受け入れる。
お前が嫌なら受け入れるから。
でも、今だけは…………
「離れんな」
俺は離れようとする佐々野みあごとギュッと抱きしめ直した。
今だけは、こうさせてくれ。