oneself 後編
それから翼に案内され、ロッカールームへ。


同じように着替えて準備をする数名の女の子達に、翼が紹介してくれた。


「ミライです、よろしくお願いします」


緊張するあたしに、それぞれが笑顔で答えてくれる。


思っていた以上に、案外普通の女の子達だった。


衣装は翼が貸してくれた。


お店の貸衣裳もあるが、それを借りると給料からクリーニング代などを引かれるし、あまりかわいくないから、と翼は言っていた。


160センチ以上で細身の翼と、155センチで決して細くはないあたし。


でもMサイズの衣装は、問題なく着る事が出来た。


真っ黒のサテン生地で、キャミソールタイプのドレス。


あたしはロッカールームの鏡に映る自分を見つめながら、口角を上げてみた。


今日のあたしは、ミクではなく、ミライなんだ。


キャバクラ嬢、ミライ。


頑張れ!!


両手でパチンと頬を叩いて、気合を入れた。


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