oneself 後編
平日の中日。


店内は半分くらいが空席で、この前よりも女の子の数も少なかった。


全ての女の子を、しっかりと覚えている訳ではないけれど。


この前は出勤していた子が休みだったり、この前は休みだった子が出勤していたり。


ヒナタさんの姿も見当たらない。


一体どれくらいの女の子が、このお店に在籍しているのだろう。


みんなどんな事情で、ここで働く事を決意したのだろう。


そんな事を考えていると、スタッフのあたしを呼ぶ声が聞こえた。


「ミライさん、3番テーブルお願いします」


3番テーブルに目をやると、スーツ姿の男性の姿。


まだ来たばかりなのか、隣に女の子の姿はなかった。


「はい」


ゆっくりと立ち上がる。


隣で暇そうに携帯をいじっている翼に、「頑張れ」、と言われ、小さく頷いた。


スタッフの後ろに続き、席まで案内されると、もう何度目かの、あの台詞を口にする。


「初めまして、ミライです」


「あ、初めまして」


丁寧に頭を下げる彼。


真面目そうな人。


それが、彼の第一印象だった。


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