oneself 後編
それから1時間の間、取りとめもない話をして、時間は過ぎていった。


彼は場内指名を入れてくれた。


特別盛り上がる話をした訳でもなく。


ごく普通の世間話をしていただけで。


何であたしなんだろう?


指名料もかかるのに…


そう思うと、逆に申し訳なく感じた。


「今日は持ち合わせがないから」


そう言って、彼は1時間でチェックをした。


「ミライさんのお陰で、明日も仕事頑張れそうです」


エレベーターに乗り込み、彼はあたしに優しく微笑んだ。


「ありがとうございました」


そう言って頭を下げると同時に、エレベーターの扉は閉まった。


待機用のソファーに戻ると、翼の姿はなかった。


店内を見渡すと、四人組の若い男性の席に着いていた。


キャッキャ、キャッキャと、楽しそうな笑い声が聞こえてくる。


一人の女の子が、何かを一気飲みしている。


あんな席には着きたくないな…


そう思いながら、ゆっくりとソファーに腰を沈めた。


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