oneself 後編
色恋営業
金曜日、あたしは学校を終えると、一度自宅に戻った。
翼は今日、同伴だったから。
コンビニで買ったサンドイッチとおにぎりで腹ごしらえをし、化粧直しをする。
そうこうしている間に、そろそろ家を出発しないといけない時間になっていた。
台所に立つ母親に、「今日は友達の所に泊まる」と、告げると、返事も聞かずに家を飛び出した。
この先もキャバクラのバイトを続けるなら、何か良い嘘の理由を見つけないと、なんて考えながら。
電車でミナミまで向かう途中、哲平にメールを送った。
「バイトに行ってきます」、と。
あれ以来、仕事については、お互いに深く触れないでいた。
哲平はもうあたしがキャバクラで働く事に、全く何も感じないのだろうか?
あたしは相変わらず嫌で。
もし哲平がホストを辞めるなら、あたしはいつだって辞める気でいるのに。
まだ金曜日。
哲平と会うのは日曜日。
今週は水曜日に会わなかった事で、週末までがひどく長く感じた。
お店に到着。
ロッカールームで着替えていると、鏡の前で髪の毛をセットしている女の子二人の会話が聞こえてくる。
「やっぱ色なんかな〜」
「でもあんま、そんな噂聞かんやん?」
耳を済ましていると、どうやら仕事帰りに、ホストに飲みに行くようだ。
聞き慣れない単語にはあまり気も留めず、哲平の客ではない事を願った。
ミナミと梅田を合わせると、それこそすごい数のお店と従業員がいる。
それでも、もしかしてを考えると、どうしようもなく不安だった。
鏡の前を陣取る彼女らの後ろから、遠慮がちに全身のチェックをする。
今日は濃いブルーのドレスを借りた。
肩紐のねじれを直し、軽く前髪を整える。
給料日明けの金曜日。
店までの道中も、人で溢れていた。
忙しくなるのかな。
翼は今日、同伴だったから。
コンビニで買ったサンドイッチとおにぎりで腹ごしらえをし、化粧直しをする。
そうこうしている間に、そろそろ家を出発しないといけない時間になっていた。
台所に立つ母親に、「今日は友達の所に泊まる」と、告げると、返事も聞かずに家を飛び出した。
この先もキャバクラのバイトを続けるなら、何か良い嘘の理由を見つけないと、なんて考えながら。
電車でミナミまで向かう途中、哲平にメールを送った。
「バイトに行ってきます」、と。
あれ以来、仕事については、お互いに深く触れないでいた。
哲平はもうあたしがキャバクラで働く事に、全く何も感じないのだろうか?
あたしは相変わらず嫌で。
もし哲平がホストを辞めるなら、あたしはいつだって辞める気でいるのに。
まだ金曜日。
哲平と会うのは日曜日。
今週は水曜日に会わなかった事で、週末までがひどく長く感じた。
お店に到着。
ロッカールームで着替えていると、鏡の前で髪の毛をセットしている女の子二人の会話が聞こえてくる。
「やっぱ色なんかな〜」
「でもあんま、そんな噂聞かんやん?」
耳を済ましていると、どうやら仕事帰りに、ホストに飲みに行くようだ。
聞き慣れない単語にはあまり気も留めず、哲平の客ではない事を願った。
ミナミと梅田を合わせると、それこそすごい数のお店と従業員がいる。
それでも、もしかしてを考えると、どうしようもなく不安だった。
鏡の前を陣取る彼女らの後ろから、遠慮がちに全身のチェックをする。
今日は濃いブルーのドレスを借りた。
肩紐のねじれを直し、軽く前髪を整える。
給料日明けの金曜日。
店までの道中も、人で溢れていた。
忙しくなるのかな。