oneself 後編
体験入店2
ロッカールームから出て来ると、お店の照明が営業モードに変わっていた。
面接に来た時は、普通の家庭にもある白い蛍光灯が点いていた。
今は全体的に薄暗く、天井のシャンデリアの灯りと、所々に黄色い白熱灯が点いている。
もちろん歩いたり仕事をするにあたって、不便を感じる暗さではないけれど、この独特の雰囲気に、あたしはいよいよという緊迫感に包まれていた。
「ミライちゃん、ちょっと…」
店長に呼ばれ、カウンターの奥にある、小さな調理場のような部屋へと入る。
「お酒の作り方だけ、こいつに聞いといて」
ペコリと頭を下げるのは、さきほどトイレ掃除をしていたスタッフだった。
初めて出会った時から感じていたが、愛想のない人だ。
「えっとまず…」
彼は氷を一つ一つ掴みながら、グラスに入れていく。
「お客さんによって違うけど、だいたい量はこれくらい」
そう言って、ブランデーのボトルを傾け、グラスの底から2センチ程度まで注いだ。
「あとはこの辺まで水入れて、かき混ぜるだけ」
一通りの流れをやって見せながら、氷の容器に刺さっていたマドラーをクルクルと回す。
「簡単やろ?」
「あ、はい…」
それ自体は、そんなに難しくはない。
ただ実際にお客さんの前に行った時、スムーズに出来るのだろうか。
「後、ロックの場合はこのグラスやし、ビールとかカクテルの場合は、俺らに頼んでくれたらいいから」
ニコリともせずに、一気に話すスタッフ。
ちょうどその時、タイミング良く彼を呼ぶ店長の声がした。
「1回やってみといて」
そう言い残して、彼は忙しそうに、どこかへ走って行った。
面接に来た時は、普通の家庭にもある白い蛍光灯が点いていた。
今は全体的に薄暗く、天井のシャンデリアの灯りと、所々に黄色い白熱灯が点いている。
もちろん歩いたり仕事をするにあたって、不便を感じる暗さではないけれど、この独特の雰囲気に、あたしはいよいよという緊迫感に包まれていた。
「ミライちゃん、ちょっと…」
店長に呼ばれ、カウンターの奥にある、小さな調理場のような部屋へと入る。
「お酒の作り方だけ、こいつに聞いといて」
ペコリと頭を下げるのは、さきほどトイレ掃除をしていたスタッフだった。
初めて出会った時から感じていたが、愛想のない人だ。
「えっとまず…」
彼は氷を一つ一つ掴みながら、グラスに入れていく。
「お客さんによって違うけど、だいたい量はこれくらい」
そう言って、ブランデーのボトルを傾け、グラスの底から2センチ程度まで注いだ。
「あとはこの辺まで水入れて、かき混ぜるだけ」
一通りの流れをやって見せながら、氷の容器に刺さっていたマドラーをクルクルと回す。
「簡単やろ?」
「あ、はい…」
それ自体は、そんなに難しくはない。
ただ実際にお客さんの前に行った時、スムーズに出来るのだろうか。
「後、ロックの場合はこのグラスやし、ビールとかカクテルの場合は、俺らに頼んでくれたらいいから」
ニコリともせずに、一気に話すスタッフ。
ちょうどその時、タイミング良く彼を呼ぶ店長の声がした。
「1回やってみといて」
そう言い残して、彼は忙しそうに、どこかへ走って行った。