oneself 後編
30分後、彼らは終電で帰る為、チェックを申し出た。


すごく長く感じた30分間だった。


席を立つ間際、前田さんはあたしに連絡先を教えてくれと言ってきた。


翼は酔っているにも関わらず、困っているあたしに気付いてくれたのか、「前田さんの連絡先、ここに書いて」と、自分のポーチから紙とペンを取り出す。


前田さんは少し怪訝な顔をしたけれど、「早く!」と、急かす翼に、ペンを走らせた。


助けてくれた翼に、本当に感謝だ。


「連絡してな」


前田さんはそう言って、あたしに紙を渡した。


「うん」


もう何度目かの、作り笑いをしている自分。


でも、この先も続けていくならば、しなければいけない事。


あたしはどうするのだろう…


エレベーターまで見送り、淋しそうに手を振る前田さんを、黙って見つめていた。


時刻は0時前。


閉店まで後1時間だ。


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