oneself 後編
今日が、何度目の出勤だろう。
もうお店の雰囲気にも、ビクビクしなくなった。
「かわいいね」
…なんてお世辞を言う客に対して、作り笑顔でお礼を言えるようになった。
口下手だったあたし。
それでもここでだけは、リップサービスも覚えた。
今あたしの隣には、前田さんが座っている。
あたしは指名を取るために、営業を始めた。
「ミライちゃん俺以外の客とも、連絡先交換したりしてんの?」
「ううん、何かそういうの怖くってさ」
あたしは小さく首を横に振ってみせる。
彼は本当に純粋で、単純で。
あたしの初めての指名の客。
あたしの唯一の連絡先を知る人。
きっと彼は、そんなあたしの嘘を信じて、自分は特別だと思っている。
あたしは営業をしていくと決めた日、まず斎藤さんにメールを送ったのだけれど。
前田さんの分かりやすいくらいの、あたしに対する好意。
でも、それに困っていたあたしは、もういなくて。
むしろそれを、利用しなきゃなんて思うようになっていた。
もうお店の雰囲気にも、ビクビクしなくなった。
「かわいいね」
…なんてお世辞を言う客に対して、作り笑顔でお礼を言えるようになった。
口下手だったあたし。
それでもここでだけは、リップサービスも覚えた。
今あたしの隣には、前田さんが座っている。
あたしは指名を取るために、営業を始めた。
「ミライちゃん俺以外の客とも、連絡先交換したりしてんの?」
「ううん、何かそういうの怖くってさ」
あたしは小さく首を横に振ってみせる。
彼は本当に純粋で、単純で。
あたしの初めての指名の客。
あたしの唯一の連絡先を知る人。
きっと彼は、そんなあたしの嘘を信じて、自分は特別だと思っている。
あたしは営業をしていくと決めた日、まず斎藤さんにメールを送ったのだけれど。
前田さんの分かりやすいくらいの、あたしに対する好意。
でも、それに困っていたあたしは、もういなくて。
むしろそれを、利用しなきゃなんて思うようになっていた。