oneself 後編
「はい、お疲れ」


見慣れた茶封筒。


ノートに記された金額は、73500円。


あたしは先週から、給料を週払いにしてもらった。


そして指名のポイントが貯まり、時給は3500円になった。


「ありがとうございます」


笑顔でそれを鞄に直すと、先に外で待っている翼の元へ駆けつけた。


今日、あたしは哲平のお店に飲みに行く。


もちろん初めてのホストで。


哲平は来る事を知らない。


昨日、翼はハル君と喧嘩をした。


「もう二度と会わない!」


翼はそう言った。


それでも、翼が未だにハル君を好きだという事は分かっている。


きっと、ハル君への当てつけに、哲平のお店に飲みに行こうと誘われたんだ。


でも一度くらい、哲平のホスト姿を見てみたかった。


ホストクラブというものにも、興味があった。


あたしは二つ返事でOKした。


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