oneself 後編
「何って?」
携帯を握りしめ、不安な顔をするあたしに、翼が問いかける。
「勝手に来て、怒ってるかも知れん…」
あちゃーと唇を噛む翼に、「やっぱり帰ろっか」、そう言おうとした時だった。
カツカツというローファーの音と同時くらいに、あたしの名前を呼ぶ声が聞こえた。
「未来!」
そこには、携帯を片手に、明らかに急いでやって来た様子の、哲平の姿。
哲平はこちらに駆け寄ると、まず翼に笑顔で挨拶をする。
「格好いい~!」
興奮気味に、高い声を上げ、あたしの背中をバシッと叩く翼。
そして、あたしの方をゆっくりと向いた哲平は、「前もって言えよ」と、軽く頭をこづいた。
怒っているのか、いないのか…
正直、分からなかった。
きっと翼が一緒だから、追い返す訳にはいかなかったんだ。
哲平はクルリときびすを返すと、「そこそこ混んでるし、席に着けるか分からんけど」、そう言って歩き出す。
「わ〜い!」
哲平の後を無邪気に追う翼を、あたしは少し重たい足取りで追い掛けた。
携帯を握りしめ、不安な顔をするあたしに、翼が問いかける。
「勝手に来て、怒ってるかも知れん…」
あちゃーと唇を噛む翼に、「やっぱり帰ろっか」、そう言おうとした時だった。
カツカツというローファーの音と同時くらいに、あたしの名前を呼ぶ声が聞こえた。
「未来!」
そこには、携帯を片手に、明らかに急いでやって来た様子の、哲平の姿。
哲平はこちらに駆け寄ると、まず翼に笑顔で挨拶をする。
「格好いい~!」
興奮気味に、高い声を上げ、あたしの背中をバシッと叩く翼。
そして、あたしの方をゆっくりと向いた哲平は、「前もって言えよ」と、軽く頭をこづいた。
怒っているのか、いないのか…
正直、分からなかった。
きっと翼が一緒だから、追い返す訳にはいかなかったんだ。
哲平はクルリときびすを返すと、「そこそこ混んでるし、席に着けるか分からんけど」、そう言って歩き出す。
「わ〜い!」
哲平の後を無邪気に追う翼を、あたしは少し重たい足取りで追い掛けた。