oneself 後編
男性スタッフに連れられて、そのお客さんの元へ向かったのは、さきほどロッカールームで一緒になった女の子達2名だった。
自分でなくて良かったと、胸を撫で下ろす。
でももし次、二人組のお客さんが来たら…
心配そうに入口付近を眺めるあたしに、翼が「未来ちゃん」と呼びかけた。
「あ、ここではミライちゃんだ…」
しまったという顔で口元を押さえる翼に、またしても吹き出した。
「お客さんの前では、あたしも椿だからね」
そうだ。
いつもの調子で、翼と呼んではいけないんだ。
「うん、分かった」
仕事さえ出来るか不安なのに、そんなところまで頭が回るだろうか。
思わず下を向くあたしに、翼は「そうだ!」と叫び、思い出したようにテーブルの上にあるポーチを探った。
「これあげる。あたしと色違い」
そう言って差し出されたのは、ピンクにキラキラのストーンが入った、かわいいライターだった。
「あたしのはこれ」
翼のものは、全く同じデザインの水色。
「昨日の帰りに買ったんだ。お揃いだよ」
あたしはそれを、ギューっと握り締めた。
「初めての時は、誰だって緊張するよ。こんなあたしでさえしたんだから」
そう言って、翼は肩をすくめて笑って見せた。
「うん、ありがとう…」
頑張らなきゃ…
翼の為にも…
自分でなくて良かったと、胸を撫で下ろす。
でももし次、二人組のお客さんが来たら…
心配そうに入口付近を眺めるあたしに、翼が「未来ちゃん」と呼びかけた。
「あ、ここではミライちゃんだ…」
しまったという顔で口元を押さえる翼に、またしても吹き出した。
「お客さんの前では、あたしも椿だからね」
そうだ。
いつもの調子で、翼と呼んではいけないんだ。
「うん、分かった」
仕事さえ出来るか不安なのに、そんなところまで頭が回るだろうか。
思わず下を向くあたしに、翼は「そうだ!」と叫び、思い出したようにテーブルの上にあるポーチを探った。
「これあげる。あたしと色違い」
そう言って差し出されたのは、ピンクにキラキラのストーンが入った、かわいいライターだった。
「あたしのはこれ」
翼のものは、全く同じデザインの水色。
「昨日の帰りに買ったんだ。お揃いだよ」
あたしはそれを、ギューっと握り締めた。
「初めての時は、誰だって緊張するよ。こんなあたしでさえしたんだから」
そう言って、翼は肩をすくめて笑って見せた。
「うん、ありがとう…」
頑張らなきゃ…
翼の為にも…