oneself 後編
2度目の同伴は、以前から誘われていた、前田さんとだった。
チェーン店の居酒屋。
別にお店がどうだとか、使ってくれる金額がどうだとか、そんな事はどうでも良いけれど。
どれだけ好意を寄せてくれたって、あたしが彼を好きになる事はないと思った。
でも、そんなあたしの思いとは裏腹に、彼の思いが日々強くなっていくのを、痛いくらいに感じていた。
彼はきっと、あたしと付き合っているつもりで。
そんな言葉を交わした覚えはないし、そこまで色営業をした覚えもない。
翼はそんな彼を、有難い客だね、と言う。
こちらが騙すまでもなく、勘違いしてくれるのだから。
でも、あたしは彼の存在が心苦しくなっていた。
毎日のメールと、あたしが休みの日を狙ってかけてくる電話。
同伴ではなく、普通のデートをしようと何度も言われた。
お店に来れば他の客との関係を逐一聞いてきたし、こんな仕事は早く辞めて欲しいとも言っていた。
正直、彼氏気取りの彼に、うんざりする気持ちもあった。
でもそれ以上に、そんな彼を利用する自分にも、うんざりだったんだ。
それでも、週に一度はお店に顔を出してくれる彼を、あたしは切れなかった。
チェーン店の居酒屋。
別にお店がどうだとか、使ってくれる金額がどうだとか、そんな事はどうでも良いけれど。
どれだけ好意を寄せてくれたって、あたしが彼を好きになる事はないと思った。
でも、そんなあたしの思いとは裏腹に、彼の思いが日々強くなっていくのを、痛いくらいに感じていた。
彼はきっと、あたしと付き合っているつもりで。
そんな言葉を交わした覚えはないし、そこまで色営業をした覚えもない。
翼はそんな彼を、有難い客だね、と言う。
こちらが騙すまでもなく、勘違いしてくれるのだから。
でも、あたしは彼の存在が心苦しくなっていた。
毎日のメールと、あたしが休みの日を狙ってかけてくる電話。
同伴ではなく、普通のデートをしようと何度も言われた。
お店に来れば他の客との関係を逐一聞いてきたし、こんな仕事は早く辞めて欲しいとも言っていた。
正直、彼氏気取りの彼に、うんざりする気持ちもあった。
でもそれ以上に、そんな彼を利用する自分にも、うんざりだったんだ。
それでも、週に一度はお店に顔を出してくれる彼を、あたしは切れなかった。