oneself 後編

本彼

気付けばもう9月の終わりで。


10月に入れば、後期の授業も始まる。


こんな生活も後数日で終わるんだ。


朝は早く起きなきゃいけない。


バイトも週末に行く程度になる。


もちろん哲平のお店に行く機会も減る。


そんな事を考えると、ひどく憂鬱だった。


最近は、2日に1回のペースで哲平と会っていた。


お店に行くという形で。


それでもどんな形だって、哲平と会えるのは嬉しかったし。


見えないものに不安になっていた日々を思えば、見えるものに安心出来る今の方がずっと良い。


お店に通ううちに、哲平の客も少しずつ分かってきた。


週に何度もお店に来る客、たまにしか来ない客。


毎回高額の支払いをしていく客、それほど使わない客。


すごく綺麗な客、意外と普通っぽい客。


その客が哲平にどういう気持ちを抱いているかだとか、その客に哲平がどんな接客をしているかだとかも、席を見ていれば何となく分かってきた。


哲平が色営業をしているのも、何となく分かっていた。


でもあたしだってしていたから。


それは割り切るようにしていた。


他の客の目に、あたしの存在はどう映っていたのだろう。


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