oneself 後編
今までの翼の話から、あたしが勝手に思っているだけだけど。
きっと最初は、翼とハル君の間には愛情があった。
ハル君にとって、翼は初めての客だった。
田舎から出て来たばかりで、写真ではあどけない表情だった彼。
口下手で、照れ屋で。
言葉がなくたって、体の関係がなくたって、そこにはハル君の精一杯の気持ちがあったんだと思う。
それは翼が、1番感じているんじゃないだろうか。
でもいつの間にか、彼は色や枕を覚えて。
売上をあげる事にも、真剣になって。
さっき見かけた彼は、もうすっかりホストの顔をしていた。
「男にとって、枕なんて簡単な事だよね」
翼の言葉が、やけに耳に残った。
そう、あたし達が客にそれをするのと、ホストが客にそれをするのは、全く重みが違うんだ。
若い客、綺麗な客、そして自分に好意を持っている客。
年頃の男の子は好きな女性の為に、それだけは守っていけるものなのだろうか。
色営業をしている哲平。
枕は…?
広がっていく不安を掻き消すように、あたしはグラスに残っているカクテルを、一気に喉の奥に流し込んだ。
閉店を告げるラストソングを、どこかの席でコウキさんが歌っていた。
きっと最初は、翼とハル君の間には愛情があった。
ハル君にとって、翼は初めての客だった。
田舎から出て来たばかりで、写真ではあどけない表情だった彼。
口下手で、照れ屋で。
言葉がなくたって、体の関係がなくたって、そこにはハル君の精一杯の気持ちがあったんだと思う。
それは翼が、1番感じているんじゃないだろうか。
でもいつの間にか、彼は色や枕を覚えて。
売上をあげる事にも、真剣になって。
さっき見かけた彼は、もうすっかりホストの顔をしていた。
「男にとって、枕なんて簡単な事だよね」
翼の言葉が、やけに耳に残った。
そう、あたし達が客にそれをするのと、ホストが客にそれをするのは、全く重みが違うんだ。
若い客、綺麗な客、そして自分に好意を持っている客。
年頃の男の子は好きな女性の為に、それだけは守っていけるものなのだろうか。
色営業をしている哲平。
枕は…?
広がっていく不安を掻き消すように、あたしはグラスに残っているカクテルを、一気に喉の奥に流し込んだ。
閉店を告げるラストソングを、どこかの席でコウキさんが歌っていた。