oneself 後編
その週の金曜日。


お店に出勤すると、店長が残念そうな顔で言った。


「椿ちゃん、辞めちゃったね」、と。


そう、もう翼の姿はなかった。


あの日を境に、翼は学校にも来なくなった。


何度か連絡したあたしに、翼は言った。


「しばらくそっとしておいて」、と。


そして、「心配しないで、お金が落ち着いたらまた戻るつもりだから」、とも言っていた。


それが翼の本心なのか、ただあたしを安心させる為のものだったのか、分からないけれど。


いつか翼がこのお店に戻って来る事を、あたしは心の底から願ってたよ?


給料日後という事もあり、バタバタと時間は過ぎていく。


翼がいなくても…


お店は何も変わらない。


きっとあたしがいなくても…


そうなんだろうな。


あたしはいつまで続けるのだろう。


ふと考えた。


そして哲平は、いつまで続けるのだろう、と。


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