oneself 後編
例えば、今の学校を卒業してから、専門学校に行く為の費用だとか。


海外に留学する為の費用だとか。


自分のお店を持つ為の費用だとか。


目標とは、そういう事だと哲平は言った。


「仕事は仕事やん」


哲平はそうも言った。


じゃあ、そのお金を哲平に貢ぐ事は、何の意味があるの?


そう哲平に言ってやりたかったけど、何となく言うのはやめた。


あたしは最初キャバクラやホストにさえ抵抗があった。


でも、いつの間にか慣れてしまった。


翼がホテヘルに行くと聞いて、さすがに戸惑った。


哲平はそれにさえ、慣れてしまったのかも知れない。


周りにいる、沢山の客を見て。


仕事は仕事。


世の中にはやむなくそういう仕事を選んだ人もいるかも知れない。


それを否定するつもりはない。


でも、あたしの事が好きなら…


やっぱりそんな答えは欲しくなかった。


気分が乗らないので、もうお店には行かずに帰ろうと思っていたあたしを、哲平が引き止めた。


仕方なく、お店に向かった。


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