oneself 後編
「乾杯!」


二度目の乾杯は、アルコールで。


同窓会には参加していなかった香も、カラオケに誘うと飛んでやって来た。


あの時の写真に写っていたメンバーが、今またここで集まっている。


そう思うと、不思議と温かい気分になった。


ただ…


あの人がいない事に、あたしは全く気付いてなかったのだけれど。




受付時に伝えた2時間は、あっという間に過ぎた。


それでも歌い足りないのか、1時間の延長をする。


あたしはここ最近で、ずいぶんとお酒が強くなった気がする。


お酒に弱い香と木部ちゃんは、既にベロベロだった。


哲平も平然とした顔で、隣に座る荒木君と笑っている。


ちょうどマイクを握っていた加藤君の曲が終わった。


数秒後。


続いて流れた曲は、『マタアイマショウ』だった。


隣に座る幸子に目をやると…


神妙な面持ちで、モニターを見つめていた。


< 173 / 244 >

この作品をシェア

pagetop