oneself 後編
そしてやってきた月末。


そう、ヒナタさんは今日でお店を辞める。


平日だった為、あたしは最初の二日は出勤せず、最終日の今日のみ出勤した。


正直、彼女と話した事は数えるくらいしかない。


それも、あくまで仕事に関する話だった。


でもあたしは、彼女に憧れていた。


そんな彼女のラストを、見届けたいと思った。


だから無理をしてでも、最終日の今日は、出勤する事にしたんだ。


店前に飾られた、大量の花。


ひっきりなしにおろされる、高額のシャンパン。


店に入りきれない客が出るほどの、盛況ぶり。


そんな中、あたしはヒナタさんと一緒に、望月さんの席に着いた。


もうすぐ1時になろうとする、閉店間際の事だった。


きっと望月さんに対する、店長の計らいだろう。


「お疲れさん」


「長い間お世話になりました」


そう言って、シャンパンの入ったグラスを合わす。


何故あたしがここにいるのだろう。


そんな疑問を感じながらも、思い出話に花を咲かせる二人の会話を、あたしは黙って聞いていた。


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