oneself 後編
「着いたで~」


奈美にメールを送り、通りゆく人々を眺める。


御堂筋を挟んで東側には、あたしのバイト先や哲平の働くお店がある。


いわゆる歓楽街というやつだ。


そして今あたしがいるのは、その西側にある、アメ村と呼ばれる所。


歩いて数分の距離にあるにも関わらず、その光景は全く違う。


ドレッド頭にタトゥーの入った黒人さんを横目に、あたしは奈美からの返信を待っていた。


「未来!」


その声に、携帯から視線をそらし、辺りを見回すと、数メートル先から駆け寄って来る奈美の姿。


「ホンマ助かった~!」


その笑顔に笑い返し、あたし達はライブハウスへと向かった。




3時間でライブは終了。


音楽にはあまり詳しくはないし、演奏されていた曲は全て知らない洋楽ばかりだった。


でも、ロック調のノリの良い曲に合わせて飛んだり跳ねたりして、それなりに盛り上がった。


「あ~、おもしろかった~」


そう言って、奈美は手うちわで顔をあおいでいる。


まだ2月だというのに、あまり寒さは感じないほど、あたしの体も火照っている。


時刻は11時過ぎ。


明日も朝から学校だ。


あたし達はさきほどまでの余韻に浸りながらも、駅に向かって歩き出した。


< 200 / 244 >

この作品をシェア

pagetop