oneself 後編
「あ、コンビニ寄るし、ちょっと待ってて」


御堂筋通りに出てきた所で、奈美はあたしにそう断ると、近くにあるコンビニに駈けて行く。


あたしは普段よりも少ないタクシーのテイルランプを眺めながら、コンビニの前で奈美を待っていた。


その時だった。


見てはいけない。


いや、見るはずのない。


そんな光景を見てしまったのは…


腕を組みながら、御堂筋を渡って行く二人。


普通ならいるはずのない人が、そこにはいた。


「営業終わって、家帰って来たわ。疲れたし、今日はもう寝るわ」


ライブ中に送られて来た、哲平からのメール。


今から1時間ほど前の事だった。


そして隣には、あの本彼だと噂されているあの子の姿。


何で…?


めまいがした。


どうしようもない不安が、胸に広がっていく。


客に急に誘われたとしても、連絡くらいくれるよね。


あたしはさっきのメールに返事だってしたんだし。


哲平はあたしに…


嘘をついたの?


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