oneself 後編
「未来?」


よほど混乱していたのか、何度か呼びかける奈美の声に、あたしは全く気付かずにいた。


「えっ?」


「大丈夫?」


心配そうにする奈美。


あたしはその二人の消えた方向を眺めながら、力なく笑った。


「何呆けてるんさ」


そう言ってフフっと笑う奈美の声を聞いた時。


あたしはクルリと奈美に背中を向けた。


「ごめん、先帰っといて!」


そしてそれと同時に、二人の消えた報告へと足を踏み出した。


「えっ、未来?」


背中に奈美の声が聞こえる。


あたしは走っていた。


高いピンヒールで。


転んだって良かった。


だたそれ以上に、あの二人の姿を見つけ出したくて…


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