oneself 後編
どれくらい、その場に座り込んでいたのだろう。
膝に当たるアスファルトの冷たさと、通り過ぎる自転車のブレーキの音に、ふと我に返った。
あたしは未だ朦朧とする頭でゆっくりと立ち上がると、鞄の中から携帯を取り出した。
ピッピ…
あたしは今、何をしているのだろう?
そもそも何故、二人を追いかけたのだろう?
そんな事を、頭の片隅で考えていた。
呼び出し音にそっと耳を澄ます。
「もしもし」
少し気だるそうな哲平の声。
「ごめんな、寝てた?」
そう言ってあげた。
そう言って欲しそうな声だったから。
「ああ、寝かけてた」
こんな状況で、何かを期待していた訳ではないけれど。
いや、もしかしたら、すごく期待していたのかも知れない。
無意識でかけた哲平への電話で。
何かがくつがえる事を。
でも哲平は…
やっぱりあたしに嘘をついた。
「そっか、起こしてごめんな」
あたしはそう言うと、何事もなかったかのように電話を切った。
パチンと閉じた携帯の音が、やけに虚しかった。
膝に当たるアスファルトの冷たさと、通り過ぎる自転車のブレーキの音に、ふと我に返った。
あたしは未だ朦朧とする頭でゆっくりと立ち上がると、鞄の中から携帯を取り出した。
ピッピ…
あたしは今、何をしているのだろう?
そもそも何故、二人を追いかけたのだろう?
そんな事を、頭の片隅で考えていた。
呼び出し音にそっと耳を澄ます。
「もしもし」
少し気だるそうな哲平の声。
「ごめんな、寝てた?」
そう言ってあげた。
そう言って欲しそうな声だったから。
「ああ、寝かけてた」
こんな状況で、何かを期待していた訳ではないけれど。
いや、もしかしたら、すごく期待していたのかも知れない。
無意識でかけた哲平への電話で。
何かがくつがえる事を。
でも哲平は…
やっぱりあたしに嘘をついた。
「そっか、起こしてごめんな」
あたしはそう言うと、何事もなかったかのように電話を切った。
パチンと閉じた携帯の音が、やけに虚しかった。