oneself 後編
体験入店3
あれから30分ほどが経った。
入口に1番近いこのカウンターの横の席は、満席にならない限りは、女の子の待機の場所になっているようだ。
あたしはそこで、お店から貰った名刺に、カラーペンで名前を書き込んでいた。
白い台紙に、黒い文字で店名が書かれた、シンプルな名刺。
”ミライ”
漢字ではなく、あえてカタカナで書いていく。
何枚くらい書けば良いのだろうか?
今日以降は、お店にいるかも分からないのに。
その時、お客さんの席から戻って来た翼が、ハイテンションであたしの隣に座った。
翼はあたしが30分ほど暇にしている間も、新規のお客さんやヘルプについていた。
この席からは、店内の全ての席が見渡せる。
翼がついていたのは、一人で来ているお客さん。
そういう席にあたしをつけない、お店側の配慮が有難かった。
一人で席に着くのは、まだまだ不安だったから。
「あ、言ってた指名のお客さん、もうすぐ着くって!」
ポーチから手鏡を取り出し、前髪を整える翼。
あたしもつられて、手櫛で前髪をとかした。
「早く来ないかな〜」
嬉しそうな表情の翼。
お客さんにつく事を、あたしもそんな風に思える時が、来るのだろうか…
そんな事を、ふと思った。
入口に1番近いこのカウンターの横の席は、満席にならない限りは、女の子の待機の場所になっているようだ。
あたしはそこで、お店から貰った名刺に、カラーペンで名前を書き込んでいた。
白い台紙に、黒い文字で店名が書かれた、シンプルな名刺。
”ミライ”
漢字ではなく、あえてカタカナで書いていく。
何枚くらい書けば良いのだろうか?
今日以降は、お店にいるかも分からないのに。
その時、お客さんの席から戻って来た翼が、ハイテンションであたしの隣に座った。
翼はあたしが30分ほど暇にしている間も、新規のお客さんやヘルプについていた。
この席からは、店内の全ての席が見渡せる。
翼がついていたのは、一人で来ているお客さん。
そういう席にあたしをつけない、お店側の配慮が有難かった。
一人で席に着くのは、まだまだ不安だったから。
「あ、言ってた指名のお客さん、もうすぐ着くって!」
ポーチから手鏡を取り出し、前髪を整える翼。
あたしもつられて、手櫛で前髪をとかした。
「早く来ないかな〜」
嬉しそうな表情の翼。
お客さんにつく事を、あたしもそんな風に思える時が、来るのだろうか…
そんな事を、ふと思った。