oneself 後編
それなら…


「その子としたの?」


答えは分かり切っているのに。


こんな事を聞いてしまうあたしは馬鹿だと思う。


でも、もしもがあるならば。


それに賭けたかった。


けれど哲平は、またしても頭を深く下げて。


「ごめん」、そう呟いた。


認めたんだ。


あの子を抱いた事を。


昨日、哲平を見かけた時。


電話で、嘘をつかれた時。


その度に、あたしの哲平を信じる気持ちは、音を立てて崩れていった。


でも、今回で。


ほんの僅かに残っていた、それでも信じたい気持ちも。


静かに崩れていった。


あたしは両手で頭を抱えた。


もう、別れたら…?


頭の中で、冷静なあたしがそう呟く。


考えなかった訳じゃない。


裏切られたんだから。


でも…


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