oneself 後編
「椿さん、5番テーブルのお客様、指名です」
頭の後ろで、スタッフの声が聞こえる。
「あ、来たんだ!」
ポーチを掴み、嬉しそうに立ち上がる翼。
あたしは5番テーブルの方へ視線をやった。
そこには、私服姿の若そうな二人組。
「ミライさんも、お願いします」
「あ、はい…」
ゆっくりと腰を上げ、もう一度、前髪を梳かす。
小さく深呼吸すると、翼と目が合った。
「波多野さんイイ人だし、きっと友達もイイ人だよ。頑張ろうね!」
そうだとイイけれど…
その友達は、あたしを場内指名してくれるのだろうか?
翼の頑張ろうという言葉は、きっとそういう意味だよね?
初めての席で取れたのは、本当にラッキーだっただけで。
次の席でも、同じようになるとは限らない。
「よし、行こう!」
5番テーブルに向かって、ゆっくりと歩き出す翼。
あたしはプレッシャーを感じながら、その後ろ姿を追い掛けた。
「波多野さん、今日はありがと〜」
元気に挨拶する翼に続き、あたしも笑顔を作って、声のトーンを少しだけ上げみた。
「初めまして、ミライです」
頭の後ろで、スタッフの声が聞こえる。
「あ、来たんだ!」
ポーチを掴み、嬉しそうに立ち上がる翼。
あたしは5番テーブルの方へ視線をやった。
そこには、私服姿の若そうな二人組。
「ミライさんも、お願いします」
「あ、はい…」
ゆっくりと腰を上げ、もう一度、前髪を梳かす。
小さく深呼吸すると、翼と目が合った。
「波多野さんイイ人だし、きっと友達もイイ人だよ。頑張ろうね!」
そうだとイイけれど…
その友達は、あたしを場内指名してくれるのだろうか?
翼の頑張ろうという言葉は、きっとそういう意味だよね?
初めての席で取れたのは、本当にラッキーだっただけで。
次の席でも、同じようになるとは限らない。
「よし、行こう!」
5番テーブルに向かって、ゆっくりと歩き出す翼。
あたしはプレッシャーを感じながら、その後ろ姿を追い掛けた。
「波多野さん、今日はありがと〜」
元気に挨拶する翼に続き、あたしも笑顔を作って、声のトーンを少しだけ上げみた。
「初めまして、ミライです」