oneself 後編
「よし、じゃあ7番テーブル行ける?ヘルプやねんけど」


店長の視線に先には、少しふっくらとしたスーツ姿の男性と、鮮やかなオレンジ色のドレスを着た、とても綺麗な女性が座っていた。


今回は、翼と一緒ではない。


しかも一人だ。


ヘルプも初めての事。


あたしは小さく頷いた。


「行きます」


今日以降の事なんて、今は考えなくていい。


ただ、店長にも、お客さんにも、あたしはもっと認められたいと思った。


イイ女になりたい。


そう思ったのは、哲平の事を考えてからだった。


哲平は今頃、女の人の隣に座り、楽しそうに話しているはずだ。


負けてられない。


頑張らなきゃ。


「よし、じゃあ残り半分、期待してるで!」


店長がさっそうと7番テーブルに向って歩く。


期待してる。


その言葉が、さらにあたしを奮い立たせた。


後3時間。


ようやく半分が過ぎた。


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