oneself 後編
結局その後は、3つの席に着き、残り時間はあっという間に過ぎていった。


1時を回った頃。


その時お客さんについていなかったあたしは、店長に呼ばれた。


「お疲れ様」


そう言って手渡された、茶封筒。


「中身確認して、ここにサインして」


言われた通り、封筒を開き中を覗く。


1万円札が目に入る。


すごい、こんな短時間で…


聞いてはいたけれど、自分の手にして改めて実感が湧いた。


感動しながらも、あまり念入りにチェックするのもいやらしいと思い、ノートの横にあるボールペンを手に取ると、店長が指さす部分にサインをする。


そこには、¥18000と記されていた。


「今日はどうやった?」


サインを終えたあたしに、店長が尋ねる。


「あ、えっと…」


今日、面接を済ました後、初めてのお客さんに着く前、本当に胃が痛くなるくらいの緊張と、あたしには無理なんじゃないかという不安に襲われていた。


でもいざ始まってみると、多少の気持ちの浮き沈みはあったものの、最初ほどの緊張や不安はなくなったように思う。


「楽しかった…かな」


そう小さい声で答えたあたしに、店長は「良かった」と、笑顔で応えてくれた。


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