oneself 後編
一度ノートに視線を戻し、サインを確認すると、再びあたしの方を向いた店長は、少しだけ真剣な顔であたしに尋ねた。


「どうする?続けられそう?」


とっさにあたしは、床へと視線を移した。


どうしよう…


ついにこの時が来たんだ。


ちゃんと決めなきゃ、店長や翼にも、迷惑がかかってしまうよね?


封筒を持つ手に、ギュッと力が入る。


その手に感じる、確かな重み。


もちろんお札が数枚入っているだけで、重い訳はない。


それでも普通のバイトなら、これを稼ぐのに、どれだけかかるのだろう。


携帯代は、これで払える。


後はカードの支払いだ。


あたしの気持ちはさておき、お金は必要だし…


あたしはどうしたいの?


あたしは続けたいの?


自分自身に問いかける。


流れる沈黙に、早く答えなきゃと、焦った時だった。


「面接の時から思ってたんやけど、何に悩んでるんや?」


はっと顔を上げると、面接の時にも見た、心配そうにあたしを見つめる店長の顔が、そこにはあった。


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