oneself 後編
「ごめん、急に意味分かんないよね。でも…」


申し訳なさそうに笑う翼につられて、あたしも頼りなく笑う。


あたしは上手く笑えているだろうか。


ひきつってはいないだろうか。


「あたしね…」


あたしを見つめる翼。


心臓がドキッと音を立てた。


何を言おうとしているの?


それでも、言いにくそうにフイッと視線を反らした翼は、グラスに手を伸ばし、残り半分のお酒を、ゴクゴクと音をたてて飲んでいく。


そして、ドンッと少し乱暴にグラスを置くと、フウーッと一息ついた。


あたしはそれを、黙って見つめていた。


「酔ってる勢いで打ち明けるんだけど…」


さっきよりも、ドキドキと速さを増す心臓。


「あたしの好きな人、ホストなんだ」


そう言った瞬間、翼は気まずそうに俯いた。


あたしの事じゃなかった…


好きな人がホスト…?


って事は、あたしと同じ状況…?


ホッと胸を撫で下ろすと、心配そうにあたしを見上げる翼の姿。


「ホストとか…。あり得ないよね?」


消え入りそうな声で、翼が聞いてくる。


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