oneself 後編
それからも、翼は彼のどこが好きだとか、こんな事を言われた、こんな事をしてくれたなど、嬉しそうに話していた。


「へ〜」と相槌を打ちながらも、あたしの中に、新たな不安が生まれていた。


1ヶ月ほど前に、ホストを始めたというその彼。


翼の話す彼の外見や性格は、哲平と重なる部分があった。


まさか…ね?


このミナミの中には、何十軒ものホストクラブがあり、そのお店には何十人ものホストがいる。


それでもこんな話を聞くと、どうしても考えてしまう。


あたしに話して良かったと言ってくれた翼。


あたしをキャバクラに誘ってくれた翼。


同じ人を好きになって、気まずくなんかなりたくない。


「ていうかさ、未来ちゃんの彼氏はどんな人?もう長いの?」


タイミングが良いのか悪いのか、唐突に向けられた質問。


あたしは少し考えて、「高校の頃から付き合ってる」、とだけ答えた。


「へ〜、見てみたいな〜」


盛り上がる翼に、またしても高鳴る鼓動。


「先に翼が見せてよ」


あたしがそう言うと、翼は鞄の中から携帯を取り出した。


それをカチカチと操作すると、あたしに差し出す。


「これだよ」


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