oneself 後編
「酔ってる勢いで打ち明けるんやけど」


その台詞に、翼はクスッと笑いながらも、あたしの真剣な目に気付き、首をかしげた。


「どうしたの?」


自分の気持ちを打ち明けてくれた翼。


話して良かったと言ってくれた翼。


あたしは哲平の事を、話し始めていた。


翼には、聞いて欲しいと思ったんだ。


ホストという相手の立場は同じで。


近いものを感じられたから。


お酒に酔うと感情的になるって、どこかで聞いた事がある。


きっと今のあたしは、冷静に話せていないんだろうな。


自分が原因を作ったとしても…


やっぱり嫌だった事。


今だって不安で不安で…


早く辞めて欲しい事。


でもそれ以上に、哲平と別れるのが、一番嫌な事。


それらを一気に打ち明けた。


終始険しい表情で話すあたしに、翼はかなり驚きながらも、優しく相槌を打ちながら、黙って聞いてくれた。


一通りを話し、あたしは最後に弱々しく言った。


「あり得へんやろ?」


「イイじゃん、好きなんでしょ?」


どこかで聞いた事のある台詞。


あたし達は顔を見合せて、笑い合った。


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