oneself 後編
「う~ん、頑張るしかないな~!」


そう言って翼は、大きく伸びをした。


「こんな話してたら、ハルに会いたくなちゃった」


チラリと携帯の時刻を確認しながら、かわいく微笑む翼。


「行ってきたら?もうすぐ2部が始まるんやろ?」


その言葉に、翼は驚いた顔で、あたしに尋ねた。


「未来ちゃんはどうするの?」


「もうすぐ始発があるし、それで帰るわ」


翼は申し訳なさそうに、でも嬉しそうに、「ごめんね」と謝り、さっそく彼に連絡を入れる。


「今から行くよ!」と、楽しそうに電話で話す翼。


あたしはそれを、黙って見つめていた。


「いいな~」


電話を切った後、ふいに呟いたあたしに、翼は首をかしげた。


「何が?」


「会いたくなったら会えるやん」


そんなあたしの言葉に、翼は驚いた表情で、「逆でしょ!」と叫んだ。


今度はあたしが首をかしげ、翼を見つめた。


「何で?」


翼は目をパチクリさせながら、湯呑みに手を伸ばすと、それをゴクリと飲み込んだ。


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