oneself 後編
「無理」


冷たく言い放たれた哲平の言葉に、あたしは耳を疑った。


「はっ?」


思わず口から出る声。


「もう行かんくていいやろ」


少しだけ表情を和らげて、心配そうな素振りを見せる哲平。


「もう約束したし…」


「断ればええやん」


確かに、やっぱり無理ですって。


そう伝えるのは簡単な事だし、そう言えば無理に引き止められる事はないだろう。


でも「続ける」と伝えた時の、あの二人の顔。


カードの支払い。


あたし自身の気持ち。


そう、あたしはもう少しだけ、続けたいと思ったんだ。


「ごめん…」


小さな声で謝ったあたしに、哲平は声を荒げた。


「はっ?何で?普通のバイトもあるやん。何でキャバクラなん?」


ここまで反対されるとは、思ってもみなかった。


だって、哲平はホストで。


あたしの反対を押し切って、今もなお続けてるんだから。


唖然とするあたし。


哲平はベッドからおりると、あたしの向かいに座った。


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