oneself 後編
その瞬間、あたしの頭の中で、何かが切れたような気がした。


「はっ?何でキャバクラで働いたらアカンの?哲平だってホストしてるやん!」


抱きかかえていたクッションを、ボンっと右手で叩く。


そんなあたしに、哲平はかなり驚いた顔で。


「え…」


そう言ったっきり、次の言葉を探している哲平とあたしの間に、重たい空気が流れた。


両親や友達に、反対されるなら分かる。


でも哲平がいくら心配だったとしても、自分は良くて、あたしは駄目だなんて。


そんなのおかしくない?


考えれば考えるほど、止まらないイライラ。


あたしは黙ったままの哲平に、静かに言った。


「もう決めたから」


京都の旅館で、哲平があたしに言った言葉を。


今度はあたしが哲平に返した。


そう、もう決めたんだ。


あの時散々悩んで、あれっきりにしようかとも考えた。


それでも、あたしは続ける事を選んだんだ。


だって…


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