oneself 後編
1日の全ての授業を終え、一度自宅へと戻る。


明日の準備を済ませ、両親には「明日に提出の課題がある」と言って、早々にミナミに向かった。


時刻は夜の9時。


哲平の仕事が終わるまで、まだ4時間もある。


いつも通り、メンバーズカードを作った漫画喫茶に入ると、あたしは前と同じように、求人情報と打ち込んだ。


これから、どんな話し合いが待っているのだろう。


別に、諦めた訳じゃないけど。


時給800円前後の何件かの求人情報。


あたしはそれらをぼんやりと眺めながら、なかなか進まないパソコンの右下の時間を見て、またしても重たい溜息を吐き出した。


結局、哲平から連絡があったのは、2時近くだった。


両親に嘘を付いて家を出ている事。


明日も朝から学校を控えている事。


そんなあたしの状況も、分かって欲しいもんだ。


イライラする気持ちをぐっとこらえながら、哲平の指示通り、漫画喫茶の前でタクシーに乗り込む。


タクシーに乗った瞬間、鼻につく香水の匂い。


高校の頃から愛用しているものとは、違っていた。


「香水変えたん?」


「え、変えてへんで」


客の香水の匂いが、移ったんだろうか。


その光景を思い浮かべると、更に気分は悪くなった。


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