oneself 後編
午後の授業を終え、もう一度、奈美に電話をかけた。
一時は呼び出し音さえ鳴らなかったが、今は普通に繋がる状態だ。
それでも呼び出し音が途切れ、奈美の声が聞こえる事はなかった。
以前に行った時の記憶を辿り、奈美の住むマンションへと向かう。
駅前の商店街で、ショートケーキを2個買った。
何となくだけど、奈美は家にいるような気がしたから。
昨日の学食で、奈美の好きな立川先輩と、奈美を殴った沢井先輩と、もう一人髪の長い女性を見かけた。
立川先輩と親密そうなその女性は、おそらく彼女なんだろうと思う。
その時、沢井先輩とその女性があたしに気付き、何やらこそこそと耳打ちをしながら、笑っていた。
正確にはそんな気がしただけで、勘違いかも知れない。
けれどあたしは、奈美が来ない事に何か関係があるような気がしてならなかった。
案外迷わずに、マンションに到着。
3階建てのマンション。
最上階のエレベーターを降りてすぐの部屋。
オートロック式ではない事に感謝だ。
あたしは深呼吸をして、その部屋のインターホンを押した。
もし奈美がいたとしても、そう簡単には出て来てはくれないだろう。
あたしはしつこいくらいにインターホンを鳴らし、同時にドアをノックしながら、「奈美」と呼びかけた。
数秒間それを繰り返す。
その時、部屋の中から、こちらへ歩く微かな足音が聞こえた。
一時は呼び出し音さえ鳴らなかったが、今は普通に繋がる状態だ。
それでも呼び出し音が途切れ、奈美の声が聞こえる事はなかった。
以前に行った時の記憶を辿り、奈美の住むマンションへと向かう。
駅前の商店街で、ショートケーキを2個買った。
何となくだけど、奈美は家にいるような気がしたから。
昨日の学食で、奈美の好きな立川先輩と、奈美を殴った沢井先輩と、もう一人髪の長い女性を見かけた。
立川先輩と親密そうなその女性は、おそらく彼女なんだろうと思う。
その時、沢井先輩とその女性があたしに気付き、何やらこそこそと耳打ちをしながら、笑っていた。
正確にはそんな気がしただけで、勘違いかも知れない。
けれどあたしは、奈美が来ない事に何か関係があるような気がしてならなかった。
案外迷わずに、マンションに到着。
3階建てのマンション。
最上階のエレベーターを降りてすぐの部屋。
オートロック式ではない事に感謝だ。
あたしは深呼吸をして、その部屋のインターホンを押した。
もし奈美がいたとしても、そう簡単には出て来てはくれないだろう。
あたしはしつこいくらいにインターホンを鳴らし、同時にドアをノックしながら、「奈美」と呼びかけた。
数秒間それを繰り返す。
その時、部屋の中から、こちらへ歩く微かな足音が聞こえた。